2016年06月01日

教育投資論的発想

教育投資論は、教育を受けると経済的価値が高まると考えます。
これは、教育を受けることは、雇用につながり、
収入を増大させるという発想です。
教育投資論に従えば、
教育を受けることは雇用につながり易くなります。

実際、教育を受けることで、
貧困から脱却した事例はあります。
ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センも、
基礎教育は平等の実現に貢献すると考えています。

 

現実は?

では、現実はどうなっているのでしょうか。

日本では1960年代に大学が大衆化し始めました。
堀尾輝久東大名誉教授は、大学の大衆化により、
大卒がグレーカラー、ブルーカラー化し始めたと指摘しました。

また、以前は貧困家庭の子どもや孤児などでも高校を卒業すれば、
下級公務員などになることが出来ましたが、
現在ではなれなくなったとも言われています。

雇用が限られている場合、教育が普及すると、
教育を受けても就職出来ない人間が現れます。
もし就職出来たとしても、
以前は就職出来た職業には就職出来なくなることもあります。
一種の玉突き効果です。

日本はこれまでキャリア教育をあまりして来ませんでした。
しかし、教育を受けることが、雇用=キャリアにつながらない場合もあるので、
教育を受ける場合は、
どういう職業に将来就くのかもよく考える必要があります。